オーダーパラメータを用いた形式の蔵本モデル


 オーダーパラメータを用いた形式の蔵本モデルを導出します。

導出

 蔵本モデルは以下の式で与えられます。

$$ \frac{d\theta_i(t)}{dt}=\omega_i+\frac{K}{N}\sum_{j=1}^{N}\sin[\theta_j(t)-\theta_i(t)]\tag{1} $$

(1)を変形するためにオーダーパラメータ$r$と平均位相$\psi$を以下で導入します。

$$ re^{i\psi}=\frac{1}{N}\sum_{j=1}^{N}e^{i\theta_j}\tag{2} $$

(2)の両辺に$e^{-i\theta_i}$を掛けると

$$ re^{i(\psi-\theta_i)}=\frac{1}{N}\sum_{j=1}^{N}e^{i(\theta_j-\theta_i)}\tag{3} $$

となります。ここで(3)の両辺の虚部のみを取り出すと

$$ r\sin(\psi-\theta_i)=\frac{1}{N}\sum_{j=1}^{N}\sin(\theta_j-\theta_i)\tag{4} $$

を得ます。(4)を(1)に代入すると

$$ \frac{d\theta_i}{dt}=\omega+Kr\sin(\psi-\theta_i)\tag{5} $$

となります。このような簡単な変形でオーダーパラメータを用いた形式の蔵本モデルが導けました。(1)では振動子が互いに結合されていましたが、(5)では振動子が他の振動子にあらわに結合されていません。これがオーダーパラメータを用いた形式の利点の一つです。もちろん、(5)では他の振動子と完全に切り離されているわけではなく、平均場$r$と$\psi$を通して相互作用しています。